鼻にできる
シミの原因・治療法

鼻にできるシミの原因・治療法

鼻にできるシミは、自分からも他の人からも目に触れやすいため、シミができてしまうと気になってしまうものです。

鼻のシミは、その発生原因や種類によってさまざまな特徴があります。
形成外科専門医として長年の診療経験から、鼻のシミの治療には適切な診断と、症状に合わせた治療法の選択が極めて重要だと実感しています。
誤った治療法を選択してしまうと、期待する効果が得られないばかりか、症状が悪化してしまうケースもあります。

この記事では、鼻にできるシミの種類や原因について解説し、それぞれの症状に適した治療法についてもご紹介していきます。
シミでお悩みの方に、少しでも治療の選択肢についての理解を深めていただければ幸いです。

鼻のシミの種類と原因

鼻のシミは、他の部位とは異なる特徴を持っています。鼻は顔の中でも特に日光に当たりやすいことや眼鏡による皮膚の圧迫が起こりやすい部位であるため、様々なタイプのシミができやすい場所です。

鼻に発生するシミは、大きく分けて5つのタイプがあります。
加齢とともに増加する老人性色素斑(日光黒子)、同様に肌の老化に伴うことが多い脂漏性角化症(老人性イボ)、遺伝的な要因が強いそばかす、そして真皮層の深いところに生じるADM(後天性真皮メラノサイトーシス)、眼鏡の鼻あてが原因となる色素沈着です。

それぞれのシミは発生メカニズムが異なるため、一見同じような症状に見えても、実際には全く異なる種類のシミである可能性があり、適切な治療も異なります。
そのため、専門医による正確な診断が、効果的な治療を行う上で非常に重要となります。

ここからは、鼻に発生する各種シミの特徴と原因について、解説していきます。

鼻全体にできやすい老人性色素斑(日光黒子)

老人性色素斑は、鼻のどこにでもできますが、特に鼻背(鼻筋)に茶褐色の色素斑として認められることが多いです。
鼻は顔の中でも最も突出した部分であるため、日光に当たりやすく、老人性色素斑が発生しやすい部位となっています。

老人性色素斑の主な原因は、長年の紫外線暴露と加齢による肌の変化です。
長年の紫外線暴露によって細胞の損傷が蓄積し、メラノサイトと呼ばれるメラニン産生細胞が活性化され、過剰なメラニン色素が産生されます。
老人性色素斑は40代以降に目立ち始めることが多く、年齢とともに数が増えたり、大きさが広がったりする傾向があります。日常的に紫外線を浴びる機会が多いと、より早い年齢で発症したり、症状の進行が速くなる可能性が高くなります。

予防には、日常的な紫外線対策を怠ると新たなシミの発生や再発の可能性が高くなるため、治療と並行して適切なスキンケアやメンテナンスも重要です。

ただし、すでにできてしまった老人性色素斑は、一般的なスキンケア製品だけでは改善が難しく、医療機関での専門的な治療が効果的です。

盛り上がったシミ、脂漏性角化症(老人性イボ)

鼻の脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)は「老人性イボ」と呼ばれることもあり、老人性色素斑と同様に、紫外線への暴露が多い頬やこめかみによく認められますが、鼻にも認められます。

見た目は茶色から黒色のやや隆起したものが多いのですが、皮膚と同じ色のものもあります。
すぐに脂漏性角化症と分かるものもあれば、ホクロやイボのように見えるものまで様々ですし、稀に皮膚がんもありますので、専門医による診断が大切です。

脂漏性角化症は紫外線と年齢変化に伴う肌の老化現象が大きな原因ですが、若年者に認める場合や多発するものは遺伝的な原因も考えられます。

鼻から頬にかけて広がるそばかす(雀卵斑)

鼻のそばかす(医学用語では雀卵斑)は、主に頬やまぶた、鼻を中心に小さな茶褐色の色素斑として現れます。
他のシミと異なり、幼少期から見られることが多く、遺伝的な要因が強いのが特徴です。

そばかすは小さい頃から認められることが多いのですが、思春期ごろから更に目立つようになったり、紫外線の影響で目立つようになったりします。

そばかすは一般的に健康上の問題はありませんが、美容上の悩みとなることがあります。
遺伝的な要因が強いため、そばかすの予防は難しいものの、治療にはよく反応しますので、専門の医療機関で適切な治療を受けることにより、改善することは可能です。

ただし、治療後も紫外線対策をきちんと行うなど、再発予防の対策は引き続き必要となります。

小鼻や鼻背に認められるADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)は、成人(20~30歳前後)になってから現れる色素斑で、主に下まぶたから頬骨付近、こめかみなどに生じますが、小鼻や鼻背に生じることもあります。

ADMは単独で認められる場合もありますが、老人性色素斑や肝斑など他のシミと混在していることも多く、注意して見ると、割とよく目にするシミです。

老人性色素斑や雀卵斑等のシミとは違う特徴的な色調や形状のことが多く、見慣れれば比較的診断は容易なことが多いです。
しかし、肝斑と似たような場所にできることから肝斑と見間違えられたり、老人性色素斑と見間違えられてしまうことも少なくありません。

肝斑とは治療法が全く違いますし、老人性色素斑とも治療法・治療経過が違う部分がありますので、しっかり診断がついていないとなかなかシミ(ADM)が消えない・・・ということになってしまいますので、まずは正確な診断が大切です。

眼鏡やサングラスの鼻あての圧迫による炎症後色素沈着

鼻背の両側面に楕円形に近い、茶色いシミが認められることがよくあります。

その形から、老人性色素斑と見間違えやすいのですが、眼鏡やサングラスの鼻あてが常に皮膚を圧迫して刺激することで、慢性的に炎症後色素沈着をおこしているのです。

鼻のシミの治療法

鼻のシミ治療には、シミの種類や症状に応じてさまざまな方法があります。
医療機関では、レーザー治療、光治療、イオン導入、内服薬、外用薬など様々な治療法がありますが、鼻のシミの多くはレーザ治療が中心になります。

鼻は顔の中心に位置し常に人の目に触れる部位であるため、治療を受けることに慎重になってしまうかもしれませんが、鼻は比較的治療の合併症が生じにくいという特徴もあります。

鼻のシミに限ったことではありませんが、特に重要なのは、シミの種類を正確に診断することです。
例えば、炎症後色素沈着に対して強いレーザー治療を行うと症状が悪化する可能性があり、ADMの場合は光治療や外用薬治療では効果が得られません。
そのため、専門医による適切な診断のもと、治療を進めていくことが大切です。

老人性色素斑(日光黒子)

老人性色素斑の治療で最もスタンダードな治療はレーザーによる治療です。
美容医療に使われるレーザーは様々ありますが、Qスイッチレーザーとピコレーザーの2種類が老人性色素斑治療で推奨されるレーザーです。

Qスイッチレーザーは、昔からシミ治療に用いられてきたレーザーです。

Qスイッチレーザーは、ルビーレーザー、ヤグレーザー、アレキサンドライトレーザーの3種類が主に使われます。
それぞれにいくらか特性があるものの、適応と方法を間違えなければ確実性の高い治療と言えますが、テープ保護を必要とすることが多く、ダウンタイムが比較的長くなるというデメリットがあります。

一方、ピコレーザーは前述のQスイッチレーザーよりも新しいレーザーです。

ピコレーザーはQスイッチレーザーよりも皮膚に与える熱のダメージがより少ないことが特徴です。
ピコレーザーは基本的にテープ保護の必要が無く、ダウンタイムを抑えながら改善することができるレーザーです。
また、繰り返し行うことで老人性色素斑の除去だけではなく、肌質の改善も期待できます。

以前はQスイッチレーザーよりも老人性色素斑の除去能力は劣る傾向にあったのですが、機器や照射方法の改善で、Qスイッチレーザーに置き換わる存在になってきました。

脂漏性角化症

脂漏性角化症の治療として、最もお勧めできる方法は、炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーなど組織を蒸散させるレーザー治療です。
最終的には傷跡になることはまずありませんし、確実性の高い治療です。

レーザー治療以外では液体窒素による治療があります。液体窒素治療はほとんどの皮膚科で簡単に行うことができ、保険適応になることがあるというメリットがあります。

一方、脂漏性角化症の厚みに合わせて治療強度の調整を行う必要があり、やりすぎれば強い色素沈着が長期にわたり残りますし、弱すぎれば取り残しや早期の再発につながるという点から、安定した治療成績を得るという点では上述のレーザー治療より劣ります。

そばかす(雀卵斑)

鼻のそばかすの治療には、レーザー治療や光治療が効果的です。
そばかすは治療によく反応しますので、適切な治療によって改善することができます。

治療効果が高く、そばかす治療としてお勧めできる方法は「ピコレーザー」「Qスイッチレーザー」「光治療(IPL)」です。

ピコレーザーは一つ一つのそばかすを除去する能力もありますし、肌全体をきれいにする美顔効果もあります。
また、テープによる保護も必要ありませんので、日常生活への支障を最小限にできますので、当院ではそばかす治療のファーストチョイスの治療です。

光治療(IPL)は、一つ一つの色素斑を除去する力はレーザー治療には及ばないものの、テープなどの術後処置を必要とせず、顔全体の色素斑を改善できます。
また、光治療は細かい色素斑が散在するタイプへの治療効果が高いため、そばかす治療は比較的良い結果が得られることが多いです。

Qスイッチレーザーによる治療効果は高く、ほとんどの場合レーザー照射したそばかすは「消えた」という状態までになります。
しかし、ダウンタイムが上記2つの治療より長くなるため、そばかす治療としてはQスイッチレーザーがファーストチョイスになることはあまり多くありません。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

鼻に発生するADMの治療には、肌の深い層まで届くレーザー治療が効果的です。
Qスイッチレーザーまたはピコレーザーを使用した強めのレーザー治療のみ効果が得られ、IPLなどの光治療、塗り薬、飲み薬などの美肌治療では効果が得られません。

また、治療経過も特徴的で、レーザー照射後1~2ヶ月は全く良くなっていないように見えることがよくあります。
通常2~3ヶ月ほどして少しずつ薄くなりはじめ、約1年かけてゆっくりと薄くなります。

レーザー治療開始から約1年かけて効果がでてきますので、始めは効果が目に見えなくてもあせらずにじっくり待つことが大切です。

ADMの特徴的な治療経過のことを理解していないと、必要以上に治療を繰り返してしまい、無駄に治療の時間と費用をかけるばかりでなく、色素沈着の増悪や色素脱失といった合併症を起こしやすくなりますので注意が必要です。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着の治療は、治療と言っていいか分かりませんが、原因を取り除くことが最も重要です。
そして、強いレーザー治療や光治療は炎症後色素沈着の症状を増強してしまうので、避けるべき治療です。

しかしながら、サングラスであれば使用を控えることがいくらか可能ですが、普段から眼鏡を使用している場合、その使用を控えることはハードルが高く、眼鏡が原因の炎症後色素沈着の治療が難しいのはそこにあります。

可能であれば眼鏡の使用を控え、自然消退を待つか、内服薬等を併用しながら色素沈着の改善を待つことになります。

この記事の監修医師

大船T's形成クリニック
院長:高梨 昌幸

大船T's形成クリニック院長 高梨 昌幸
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