背中にできるシミは、肌の老化や紫外線の影響、皮膚の炎症など様々な原因から発生します。
それぞれのシミには特徴があり、それぞれに適した治療法を選択することが大切です。
今回は、背中にできるシミの種類とその原因、予防方法、治療法などを解説します。

背中にできやすいシミは老人性色素斑、脂漏性角化症、炎症後色素沈着の３つが代表的です。

成人の顔、手などに認められるシミと言われているものの多くが「老人性色素斑（ろうじんせいしきそはん）」または「日光黒子（にっこうこくし）」と呼ばれるシミの一種です。
典型的な老人性色素斑（日光黒子）は、茶色い数ミリから数センチ大の扁平な色素斑が30代～40代以降の日光にあたりやすい場所にできます。

脂漏性角化症（しろうせいかくかしょう）は「老人性イボ」としても知られ、やや隆起した茶色から黒色のシミの一種です。

一般的には、40代以降の方の顔や手の甲に認められることが多いのですが、20代など若い方にも認められることがあります。

老人性色素斑（茶色い平らなシミ）と見た目がやや異なり、少し盛り上がっていることが特徴です。
時々炎症を伴うことがあり、この場合、赤みや痒みを生じることがあります。

脂漏性角化症の発生は、何もなかったところから突然小さな脂漏性角化症ができて徐々に大きくなる場合もありますし、長年の老人性色素斑から脂漏性角化症が発生する場合もあります。

炎症後色素沈着は皮膚の炎症が起きた後に、メラニンが沈着した状態です。
皮膚に何らかのダメージがあった場合に生じるのですが、背中の場合、ニキビや虫刺され、肌荒れなどがきっかけとなることが多いです。

背中にできるシミの原因は、シミのよって異なります。
また、シミの原因を知ることで予防にもつながります。

老人性色素斑の原因は年齢による皮膚の老化と今まで浴びてきた紫外線の影響が主なものです。
特に紫外線の影響は非常に大きいです。

長年の紫外線暴露によって細胞の損傷が蓄積し、メラニン産生細胞の活性化と構造の変化などが生じ、老人性色素斑が形成されます。

脂漏性角化症の原因は、老人性色素斑と同様に紫外線の影響が大きいです。
特に若いころ背中もよく日に焼けていた方は、年齢とともに脂漏性角化症や老人性色素斑が背中に多発することが少なくありません。

ただし、紫外線の影響をほとんど受けていない場所に若いころから脂漏性角化症が多発する場合があり、この場合は遺伝的な要素が強いと考えられています。

炎症後色素沈着は、肌の炎症が原因で発生します。
ニキビや虫刺され、アトピー性皮膚炎など、皮膚に炎症が起こると、その治癒過程で色素が肌に残り、シミのように見えます。
特に炎症が強い場合や長期間続いた場合には、色素沈着が起こりやすくなります。

紫外線は肌の老化を進行させ、老人性色素斑や脂漏性角化症などシミの原因となります。
普段は背中に紫外線を浴びる機会はあまりないかもしれませんが、プールや海などで背中に紫外線を浴びる場合は、日焼け止めやUVカット機能があるラッシュガード等を使用し、紫外線の対策を行うことが大切です。

乾燥は肌のバリア機能を低下させ、紫外線ダメージや刺激を受けやすくなります。
そのため、毎日のスキンケアでしっかりと保湿を行うことが大切です。
特に入浴後は肌が乾燥しやすいので、すぐに保湿ケアを行うようにしましょう。

肌に強い刺激を与えると、肌の防御反応としてメラニン色素が過剰に生成され、色素沈着の原因となります。
例えば、お風呂やシャワーの際に、ゴシゴシと強くこすって洗うことは避けましょう。

ニキビや虫刺されなどで肌に炎症が頻繁に起こると、炎症後色素沈着の原因となります。
特に多発するニキビが色素沈着の原因となっている場合、まずはニキビのケアを十分に行うことが、炎症後色紙沈着の改善ひ欠かすことができません。
背中のニキビがなかなか治らない場合は、皮膚科で相談することも検討しましょう。

背中のシミには、レーザー治療やケミカルピーリングなどの治療法があります。
ただし、治療法はシミの種類や肌の状態に応じて異なるので、まずは専門医に相談しましょう。

黒・青・茶色に反応するレーザーで、長年の治療実績から治療効果も安定しています。
シミを形成しているメラニンを含んだ部分（メラノソーム）だけを破壊し、老人性色素斑、雀卵斑に有効です。

盛り上がりのある脂漏性角化症の治療に使用します。
麻酔をした後、脂漏性角化症を削り取るように除去します。
治療部位は浅い擦り傷のような状態になっていますので、約10日間テープの保護が必要です。

ケミカルピーリングは、肌の表面に特殊な薬剤を塗布し、古い角質等をを取り除く方法です。
この方法で背中のニキビが改善することもありますので、シミ治療というよりはニキビ治療として検討する価値があります。

※当院ではケミカルピーリングは行っていません。

背中のシミは年齢と共にできやすくなってきます。
特に。よく日焼けをしていた場合は、そのリスクが高くなります。
ただし、若いころから体中に小さい脂漏性角化症が多発する体質の方がいらっしゃいますが、この場合は通常は紫外線の暴露にあまり関係がなく、シミがまだできない年齢から症状が出ることがあります。

痒みがあるから悪性を疑う必要があるわけではありません。
例えば、脂漏性角化症が痒みを伴うことは時々あります。
これは、脂漏性角化症の深い部分で軽い炎症を起こすことがあり、この炎症が痒みの原因となることがあるからです。
また、老人性色素斑から脂漏性角化症に移行するタイミングで痒みが生じることもあります。

シミの治療は簡単にすぐ結果が出ることは、残念ながら多くありません。
シミの代表的な治療であるレーザー治療も、治療結果と言える状態になるまでは１年以上の時間が必要になることが一般的です。
背中の皮膚は顔の皮膚と比べると新陳代謝が遅いため、顔のシミ治療より時間がかかる傾向にあります。

シミ治療で大切なことは、正確な診断と適切な治療法の選択です。
当院は効果を重視した治療の提案を大切にしていますので、必要のない治療をお勧めすることはありません。
シミでお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。