肝斑とシミの違いとは?そばかすは別物?
見分け方と治療法を解説

肝斑とシミ(老人性色素斑)の違いとは?そばかすは別物?見分け方と治療法を解説

肌の色素沈着、色素斑には様々な種類があります。
代表的なものとして肝斑、シミ(老人性色素斑)、そばかすがありますが、これらの違いを見分けるのは意外と難しいです。
今回はこの3つの違いと見分け方、治療法について解説します。

肝斑・シミ(老人性色素斑)・そばかすの違い

肝斑、シミ(老人性色素斑)、そばかすはいずれも肌にできる色素斑、色素沈着の一種ですが、原因や見た目の特徴が異なります。

肝斑(かんぱん)とは

肝斑(かんぱん)は、主に30代以降の女性の頬にクスミのような色素沈着として認められることが多いです。

原因は「刺激による皮膚の炎症」「女性ホルモン」「紫外線」などいくつかの原因が関係しています。

治療は飲み薬が第一選択ですが、スキンケアの方法の改善も必須です。
肝斑を一気に消すことは難しく、少しずつ改善を目指します。

シミ(老人性色素斑)とは

老人性色素斑は、紫外線や加齢によってできるシミの一種です。
いわゆる皮膚の老化現象の一つです。

形は不定形の斑状をしており、大きさは1cm程度のものが多いですが、数cm程度の大きなシミもあります。境界は比較的明瞭で、色調は茶色~黒褐色です。

好発部位は顔、手の甲や腕、背中など日光に当たりやすい部位です。数は個人差が大きいものの、高齢者ほど数が増える傾向にあります。

そばかすとは

そばかすのことを医学用語で「雀卵斑(じゃくらんはん)」と言います。
色白の女性に、数ミリ大の細かい茶色い色素斑が下まぶた・頬・鼻にかけて対称性に散在するのが典型的です。

治療によく反応しますので、そばかすの治療はそこまで難渋することはありません。
しかし、長期的には少しずつ再発します。
再発すると言うと少しガッカリされるかもしれませんが、加齢によるシミも年齢を重ねるごとに少しずつ新しいものができる・再発するなどがありますので、そばかす治療だけが再発と付き合っていかなくてはならなないというわけではありません。

【画像でわかる】肝斑・シミ・そばかすの見分け方

肝斑、シミ、そばかすは発生部位や大きさ、形状、色調などの違いから、ある程度見分けることもできます。
代表的な特徴を画像とともに解説します。

肝斑の見分け方

肝斑(かんぱん)の症状には特徴があります。

肝斑の症状

対称性: 肝斑は顔の左右に対称的に現れることが一般的です。

色調: 肝斑は輪郭が不明瞭で、薄い褐色をしています。クスミと表現されることもあります。

発症部位: 肝斑は頬骨付近に認められることが最も多いです。その他、額や鼻の下に認められることもあります。
一方、まぶたや生え際には認められることが無いことも大きな特徴です。

発症年齢: 肝斑は主に30〜40歳代の女性に発症することが多く、高齢になると消失する傾向があります。

シミ(老人性色素斑)の見分け方

典型的な老人性色素斑(日光黒子)は、茶色い数ミリから数センチ大の扁平な色素斑が30代~40代以降の顔、手の甲、前腕など日光にあたりやすい場所にできます。

老人性色素斑の症状

男女問わずできますので、年齢とともに誰でも1個や2個の老人性色素斑はできると言えるでしょう。

稀ですが、20歳前後でも顔など日光にあたる場所に老人性色素斑ができることがあります。

中高年以降の顔は、老人性色素斑以外にほかの種類のシミ、脂漏性角化症・そばかす・肝斑・ADM、そして高齢者の場合は稀に皮膚がんが混在していることもありますので、まずは専門医による診断が大切です。

そばかすの見分け方

典型的なそばかすは子供の頃から両下まぶた、両頬、鼻根を中心に数ミリほどの細かく茶色い色素斑が散らばるように存在します。

そばかすの症状

さらに広範囲に広がる場合は、上まぶた、額、口の周りなど顔全体や腕、体幹などにも認められます。

顔全体に広がっている場合でも、もみあげ近くなど生え際近くにはあまり色素斑は認めないことが多いです。

小~中学生頃から目立つようになることが多いのですが、子供の頃はあまり目立たず、思春期以降や妊娠などをきっかけに目立ってくるものもあります。

思春期ごろが一番目立つようになり、中高年以降は次第に薄くなることが多いのも特徴の一つです。

そばかすと似た色素斑に、薄くて細かいタイプの老人性色素斑があります。
発症年齢や色素斑の広がり方から見分けることが大体可能なのですが、治療方針に大差はないので、見分けることにそこまでこだわる必要はありません。

肝斑・シミ(老人性色素斑)・そばかすの治療法

肝斑、シミ(老人性色素斑)、そばかすを改善するための治療法として、レーザー治療や薬物治療が有効です。地それぞれに対する代表的な治療法をお伝えします。

肝斑の治療法

肝斑の治療は医学的なアプローチと適切なスキンケアの両方からアプローチすることが、とても大切です。
特に、肝斑を意識したスキンケアをおろそかにした状態では、医学的なアプローチの効果が全く得られなくなります。

【肝斑のためのスキンケア】
肝斑のためのスキンケアは、肝斑の原因をできるだけ取り除くという目的で行います。
肝斑の原因、すなわち「肌の刺激」をできるだけ与えないというです。

具体的には、紫外線対策を十分に行い、肌を愛護的に扱って下さい。
洗顔の時は泡だけで洗うようにし、タオルなどでゴシゴシ擦ってはダメです。

【医学的なアプローチ】
肝斑治療の第一選択はトラネキサム酸の内服です。
トラネキサム酸の内服を行ったうえで、必要であればレーザー治療などを行うことがありますが、上記のスキンケアを徹底し、内服を継続するだけでもかなりの率で肝斑は改善します。

シミ(老人性色素斑)の治療法

老人性色素斑の治療で最もスタンダードな治療はレーザーによる治療です。
美容医療に使われるレーザーは様々ありますが、Qスイッチレーザー(ナノセカンドレーザー)とピコセカンドレーザー(ピコレーザー)の2種類が老人性色素斑治療で推奨されるレーザーです。

【Qスイッチレーザー】
昔からあるシミのレーザー治療といえばこのQスイッチレーザー(ナノセカンドレーザー)です。

Qスイッチレーザーは、ルビーレーザー、ヤグレーザー、アレキサンドライトレーザーの3種類が主に使われます。
それぞれにいくらか特性があるものの、適応と方法を間違えなければ確実性の高い治療と言えます。

【ピコセカンドレーザー】
ピコレーザーの呼び名で浸透しています。
前述のQスイッチレーザーよりも新しいレーザーです。

ピコレーザーはQスイッチレーザーよりも皮膚に与える熱のダメージがより少ないことが特徴です。
ピコレーザーは薄くて細かい老人性色素斑を、ダウンタイムを抑えながら(日常生活に差し支えが少ない)改善することができるレーザーです。
また、繰り返し行うことで老人性色素斑の除去だけではなく、肌質の改善も期待できます。

一方で、サイズがある程度ある完成された老人性色素斑の除去はQスイッチレーザーにやや劣る感が否めないのですが、機器も日々改良されてきており、老人性色素斑治療のファーストチョイス、ゴールデンスタンダードとなる日も遠くないでしょう。

そばかすの治療法

そばかすは治療によく反応しますので、適切な治療によって改善することができます。

治療効果が高く、そばかす治療としてお勧めできる方法を3つご紹介します。

【ピコレーザー】
そばかす治療のレーザーとしては最も新しいレーザーです。

後述しますQスイッチレーザーのように一つ一つのそばかすを除去する能力もありますし、光治療(IPL、フォトフェイシャル)などのように肌全体をきれいにする美顔効果もあります。

また、テープによる保護も必要ありませんので、日常生活への支障を最小限にできますので、当院ではそばかす治療のファーストチョイスの治療です。

【光治療】
IPL、フラッシュなどとも呼ばれます。フォトフェイシャルという機器の登場で一気に広まった治療です。

一つ一つの色素斑を除去する力はレーザーに及ばないものの、テープなどの術後処置を必要とせず、顔全体の色素斑を改善できます。

また、光治療は細かい色素斑が散在するタイプへの治療効果が高いため、そばかす治療は比較的良い結果が得られることが多いです。

【Qスイッチレーザー】
Qスイッチレーザーによる治療効果は高く、ほとんどの場合レーザー照射したそばかすは「消えた」という状態までになります。

一つ一つの色素斑を除去する力は非常に強いのですが、術後テープ処置が必要なこと、術後に色素沈着を一定期間生じる可能性があること、照射した部分と照射していない部分でやや色ムラが生じる可能性があるなどデメリットもあります。

ですので、そばかす治療としてはQスイッチレーザーがファーストチョイスになることはあまり多くありません。

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