胸オペは性同一性障害の診断書
なしでも受けられるって本当?
胸オペは性同一性障害の診断書なしでも受けられるって本当?
胸オペ(乳房切除術)は性同一性障害の診断書がなくても施術を受けることは可能です。
性同一性障害の医学的処置に対する考えは、医療機関、医師によって多少異なりますが、必ずしも胸オペを受けるために
診断書が必須という規制があるわけではありません。
この記事では、診断書の必要性の有無や手術の受け方についてわかりやすく説明します。
なぜ胸オペは診断書なしでも受けられるのか
胸オペ(乳房切除術)に関して性同一性障害の診断書が必ずしも必要でない背景や理由について解説します。
そのためには、「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」と「性別適合手術」について少し知っておく必要があります。
ガイドラインとは?
性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインが日本精神神経学会・性同一性障害に関する委員会によって作成されています。
このガイドラインでは、治療は原則的に第1段階(精神的サポート)、第2段階(ホルモン療法と乳房切除術)、第3段階(性器に関する手術)という手順を踏むことを推奨されており、第2段階以降へ進む際に2名の精神科医による診断を必要とするとされています。
ただし、ここで知っておいて頂きたいのが、このガイドラインはあくまで医療従事者に対する指針であり、治療を受ける方に対する規則ではありません。
ガイドラインに従って治療を受けていなかったからといってその後の治療や行政・司法手続きに支障がでる等、当事者本人に不利益が出ることがあってはならないことはガイドラインにも明記されています。
性別適合手術と胸オペについて
性別適合手術とは、性器に関する手術です。
具体的には、FTMの場合、子宮・卵巣摘出術、尿道延長術、膣閉鎖術、陰茎形成術など性器に関係する手術です。
つまり、胸オペ(乳房切除術)は性別適合手術ではありません。
このことは診断書の必要性について考える際に非常に大切になります。
性別適合手術には診断書が必要
性別適合手術(子宮卵巣摘出術等性器に関する手術)に関しては、母体保護法(旧優生保護法)による規定(何人も、この法律の規定による場合の外、故なく、生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射を行ってはならない)を遵守しなければなりません。
これに違反したとして、過去に医師が有罪となった事件もあります。
この事件の判決において、「手術前には精神医学ないし心理学的な検査と一定期間にわたる観察を行うべきである」と明記されています。
従って、性別適合手術においては「生殖を不能にすることを目的にしているのではなく、性同一性障害に対する治療を目的としている」と認められる必要があり、2名の精神科医による「性同一性障害である」という診断が必要となります。
一方、胸オペ(乳房切除術)は性別適合手術(性器に関する手術)と別のカテゴリーに分類されているため、母体保護法の規制を受けることはありません。
従って、胸オペは他の一般的な手術と同じように、診断書が無くても成人であれば本人の同意のもと手術を受けることが可能です。
胸オペの診断書についてよくある質問
胸オペに関する診断書には多くの疑問や不明点があるかと思います。以下、よくある質問とその回答をまとめてみました。
胸オペには診断書が必要ですか?
手術は不可逆的な治療であるため、診断を確実なものとするために診断書があることが望ましいです。
当院では、当事者の方の様々な状況を考慮して診断書が無い方の治療も行っていますが、医師が診断書を必要とすると判断した場合は診断書が必要となります。
性同一性障害の診断書はどうやってもらえばいいですか?
性同一性障害の診断書は、性同一性障害に詳しい精神科医が診断にあたることが通常です。
診断書が必要なFTMの手術は何ですか?
FTMの手術の中で診断書が必要とされるものは、性別適合手術全般となります。
具体的には、子宮・卵巣摘出術、尿道延長術、膣閉鎖術、陰茎形成術など性器に関係する手術です。